Cal.diyは、日程調整やオンライン予約の仕組みを自分の環境で動かすための製品です。空いている時間を相手に見せ、予約を受け付けるという基本の機能はそろっています。
ただし、登録すればすぐ使い始められる一般的なクラウド型のツールとは性格が違います。サーバー、データベース、独自ドメイン、メールを送るための環境などを自分で用意し、その後の保守も自分たちで担います。ライセンス料の安さだけで選ぶのではなく、導入したあとの運用まで引き受けられるかどうかが判断の分かれ目です。
Cal.diyは、MITライセンスで公開されている、セルフホスト型の日程調整プラットフォームです。MITライセンスは、一定の条件のもとで利用や改変、再配布ができるライセンスです。セルフホストとは、提供会社が管理している環境をそのまま借りるのではなく、自分で用意したサーバーなどに設置して運用する形を指します。
名前は似ていますが、提供会社が環境を管理するCal.comとは別の製品です。Cal.diyでは、ソフトウェアを動かす環境の構築から、アップデート、保守までを運用する側が担当します。
この違いは、導入時の作業だけの話ではありません。たとえば予約の通知を送るには、メールやプッシュ通知の設定が必要ですし、通知が届き続ける状態を保つことも運用に含まれます。予約機能そのものだけでなく、その周りの環境まで含めて一つの仕組みとして考える必要があります。
Cal.diyでは、曜日ごとに受付時間を設定でき、特定の日だけ時間を変えることもできます。そのうえでタイムゾーンを考慮し、すでに入っている予約や、接続したカレンダーで「予定あり」になっている時間を除いて、予約できる時間枠を計算します。
たとえば、普段は平日の午前中だけ受け付け、ある日だけ午後も受け付ける、といった設定ができます。予約済みの時間やカレンダーで埋まっている時間を避けて候補を出すため、空いている時間を相手に示して日程を決める流れを作れます。
一方でカレンダー接続は、用意された設定を選ぶだけでは済みません。Googleカレンダーとつなぐ場合は、Google APIのプロジェクトを自分で用意し、OAuthのリダイレクト先を自分の環境に合わせて設定します。OAuthとは、外部サービスへ安全に接続するための認証の仕組みです。
つまり、予約画面を設置すれば終わり、というものではありません。独自ドメイン、メール送信の環境、カレンダー接続に使う認証情報をそろえて、はじめて実際の予約受付に使える状態になります。
外部のシステムとつなぐ場合は、APIのバージョンに注意が必要です。Cal.diyではAPI v2が使えますが、API v1はすでに削除されています。
既存の仕組みと接続する予定があるなら、その仕組みがどのバージョンのAPIを前提にしているかを、導入前に確認してください。古い連携方法をそのまま移せるとは限りません。
通知についても、機能があるかどうかだけで判断しないほうがよいでしょう。メールやプッシュ通知をどう設定するか、送信に失敗したときにどうやって気づくかまで確認しておくと、導入後の運用を具体的に見積もれます。
Cal.diyのコードはMITライセンスで公開されており、ソフトウェアのライセンス料は0円です。ライセンスキーや商用版に依存することなく利用できます。
ただし、実際に運用する費用まで0円になるわけではありません。主に次のような費用と作業が発生します。
日本専用の月額料金はありません。日本で使う場合も、ソフトウェアのライセンス料と、セルフホスト環境を維持するための費用を分けて見積もります。利用人数だけで料金が決まるクラウド型のサービスとは費用の考え方が違うため、自社で使う構成を先に決めておく必要があります。
注意
料金情報は2026年7月26日時点のグローバル情報です。日本向けの個別料金ではありません。導入時には、ライセンス条件と必要なインフラ構成をあらためて確認してください。
Cal.diyを運用する側は、サーバーに設置するだけでなく、安全性と運用の継続にも責任を持ちます。確認すべき対象には、認証情報などの秘密情報、コンテンツセキュリティポリシー(Webサイトで読み込める内容を制限する設定)、データベース、バックアップが含まれます。
公式には、本番用途を推奨しないという位置づけも示されています。重要な予約業務に使うなら、動かせるかどうかだけで判断せず、障害やアップデートに対応できるか、必要な安全対策を維持できるかまで検討してください。
特に避けたいのは、担当者が一人しかおらず、その人が不在になるとアップデートも復旧も止まってしまう状態です。実際に運用するなら、保守の担当者と復旧の方法を具体的に決めておく必要があります。
Cal.diyには、対象外となる組織向けの機能があります。Teams、Organizations、Workflows、SSOやSAMLが必要な組織は、Cal.diyを候補から外すことになります。
SSOやSAMLは、組織の認証基盤とサービスを連携させるために使われる仕組みです。社内のセキュリティ基準でこれらが必須なら、予約の基本機能が条件を満たしていても、Cal.diyは適合しません。
反対に、これらの組織向け機能を必要とせず、セルフホスト環境の構築と保守を自分たちで担えるなら、候補として検討できます。判断の中心は、無料で手に入るかどうかではなく、必要な機能の範囲と運用の責任が自分たちに合っているかどうかです。
1つ目と3つ目を満たせない場合は、提供会社が環境を管理してくれるサービスも含めて検討するほうが現実的です。2つ目に当てはまる場合は、その機能を備えた別の製品を選ぶ必要があります。
Q.Cal.diyは無料で使える?
A.ソフトウェアのライセンス料は0円です。ただし、サーバー、データベース、メール、独自ドメイン、監視、アップデート作業などの費用と手間が別にかかります。
Q.Cal.comと同じようにすぐ使える?
A.いいえ。Cal.diyは、提供会社が管理するCal.comとは別の製品です。自分で環境を作り、ドメインやメール、カレンダー接続を設定して保守します。
Q.Googleカレンダーと接続できる?
A.接続できますが、Google APIのプロジェクトの用意とOAuthのリダイレクト設定を、自分の環境側で行う必要があります。
Cal.diyは、日程調整と予約の基本的な仕組みを自分の環境で動かせる、セルフホスト型の製品です。曜日や日付ごとの受付時間、タイムゾーン、既存の予約や連携したカレンダーの予定をもとに、予約できる枠を提示できます。
ライセンス料は0円ですが、実際に運用するにはインフラの費用と保守の作業が必要です。組織向け機能の一部は対象外で、安全性やバックアップも運用する側が担います。必要な予約の受け方だけでなく、導入したあとの保守を続けられるかまで含めて判断してください。
確認日: 2026-07-17 以降(記載の各公式ページで確認。価格などは変わることがあります)
Cal.diy